FRP・GFRP・CFRP マシニングセンタとは?

イントロ

当社では、1968年の創業から複合材料(FRP)の成形加工を行っており、主としてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の特徴である『軽くて、強い、腐食しない』を生かし次世代モビリティなど幅広い分野での軽量化に貢献しています。今回は、専門的な立場から複合材に使用するマシニングセンタについて解説します。

マシニングセンタとは?

マシニングセンタ(Machining center:MC)とは、加工に必要な工具や刃物を自動で交換できるNC工作機械のことで、加工に必要な作業フローを数値で制御・コントロールして自動化できる設備です。Automatic Tool Changer:ATCを装備することによって、1回の工程で複数の工具を自動で交換でき、作業者による工具交換などを不要にすることができるため、生産工数の削減や負荷軽減に大きく寄与します。

FRP・GFRP・CFRPなどの複合材に用いるマシニングセンタ

CFRPをはじめとする複合材料製品において、マシニングセンタは下記のような使い方をします。

成形型の切削加工

治具・検具などの切削加工

成形後製品の二次加工

複合材の切削加工・機械加工で押さえておくべき2つのポイント

複合材の機械加工には特に注意すべき点が2つあります。

異方性を理解する

CFRPは繊維の方向に強度が依存する異方性材料であり、繊維と樹脂が複合化された素材です。特に機械加工においては、製造された部品内部がどのような繊維の方向・積層構成になっていて、マトリクスとして使用している樹脂にどんな特性があるのかをよく理解して加工を行う必要があります。繊維の方向や量・積層構成によって加工抵抗が異なることや樹脂によっても熱特性が異なることから、それらCFRP(複合材)特有のノウハウを理解できていないと適正な加工はできません。

ドライ加工(乾式)が前提

CFRPの機械加工には切削油等は使用できません。CF(カーボンファイバー)は、微小ですが吸湿する素材のため、油分が一度浸み込んでしまうと除去することができなくなります。外観では吸湿は視認できませんが、製品として長期使用していくと、浸み込んだ界面から層間剝離などに繋がる恐れがあり、取り扱いには注意が必要です。そのような環境下で製品を使用する際には、加工後に製品表面を塗装やシーリングによって保護し吸湿を防ぎます。

UCHIDAのCFRP機械加工へのこだわり

モノづくり最初の工程 治工具室 

CAD/CAMやマシニングセンタを用いて、CFRP加工を行う部署『治工具室』では、CFRP成形に使用する成形型や検査治具・接着治具等の設計・製作と成形後のCFRP部品の機械加工の作業を担っています。当社は、設計・解析から型製作・積層成形・二次加工・塗装・検査・試験まで、ワンストップで対応しており、治工具室はモノづくりの最初の工程を担っている部署です。

こだわり 成形型

CFRP部品において、成形加工は品質を左右する大事な工程ですが一番重要なプロセスは成形型の設計です。良い製品は型で決まります。当社では、幅広い分野の製作経験から、複雑な大型一体成型品などを得意としており、難しいご要望にもお応えできる体制を整えています。ワンストップの強みを生かして、後工程に配慮した『使いやすい型』を製作します。使いやすい型とは、製品構造を理解して、積層しやすい・成形時に温度ムラが少ない・取扱いに際して破損しづらい・持ちやすいなどの点を重視したものであり、当社では製作数量や型の素材に合わせて最適な型設計・加工を行います。最も大切なことは、モノづくりの一連のプロセスを十分理解していることです。

こだわり CFRP機械加工

CFRP機械加工と言っても、製品によってCFRPの中身も異なります。当社で製造するCFRP部品には、成形時に発泡体や金属をインサートしている構造部品も多くあり、機械加工では、①CFRP異方性と樹脂の理解、②金属との複合化されたCFRP部品、それぞれ事前に加工方法を検証します。このような複合化された複雑な部品でも、ドライ加工を基本として、穴あけ・ネジタップ・トリミング・3D形状加工など多くの加工実績があります。また、使用する工具もCFRPの特性を理解し、さまざまな特殊な工具を使い分けて作業しています。

展示品『Car-bonsai』CFRPで盆栽を再現

全周をマシニングセンタで一皮剝いてます

UCHIDAのマシニングセンタ

お客様の幅広いニーズにお応えします

TVCMでも放映しているDMG森精機社の「DMG MORI x Front Runner」Vol.46に、新たなイノベーションに挑むフロントランナー企業として紹介されました。

DMG MORI TVCM 「Front Runner Vol.46 株式会社UCHIDA」

加工材質と設備

材質

CFRP/GFRPなどの複合材料・アルミ・チタン・ケミカルウッド・石膏

設備

①DMG MORI【5軸】M/C DMU 200 Gantry :X2000xY2000xZ1200

②DMG MORI【5軸】M/C DMU 125P :X1250xY1000xZ1000

③DMG MORI【5軸】M/C DMU 100P :X1000xY1000xZ1000

④NEO 【5軸】 M/C MM4223 :X4000xY2000xZ1200

⑤DMG MORI【3軸】M/C VS10000 :X2050xY1000xZ600

サマリー

ここでは、マシニングセンタの役割からCFRP機械加工について解説しました。CFRP機械加工にはCFRP自体の知識やノウハウが必要であり、部品構造が理解できていない状態で加工を行うと、トラブルが起きる可能性が高い、ということがご理解いただけたのではないでしょうか。CFRPは基本、ドライ加工(乾式)となるため、金属加工など切削油を使用する機械では加工できません。以上のことを総合的に検討するには、専門メーカーへの相談が確実で安心だといえます。

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当社では、FRP・GFRP・CFRPを用いたCFRP成形加工メーカーとして多くの技術ノウハウを活用し、設計・解析から製造、二次加工・アッセンブリ、塗装、品質保証、試験までワンストップに対応しています。

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