複合材料とは?
複合材、複合材料(Composite Material:コンポジット)とは異なる2種類の素材を組み合わせることで、単一材料では発揮できない特性(強度・剛性・靱性など)を持つ材料の総称です。強化材料と母材(マトリクス)で構成される素材を総じて複合材料と呼びますが、材料の複合化という観点では、合金やセラミックスなども含まれ幅広い素材が含まれることから、一般的には強化材には繊維を、マトリクスにはプラスチック(樹脂)を使用します。
繊維強化プラスチックとは?
FRP : Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)は、繊維を強化材として使用したプラスチックの総称です。プラスチックだけでは得られない強度や特性を繊維で補強することにより、プラスチックと比べて軽量で強靭な構造物を作ることが可能になります。FRPは一般的にガラス繊維を強化材として用いることから、GFRP:Glass Fiber Reinforced Plasticsと呼ばれています。使用する強化繊維がガラスであればG、炭素繊維であればC、アラミド繊維であればAをFRPの頭文字として表します。
FRPの最高峰『CFRP:炭素繊維強化プラスチック』
FRPでは主にガラス繊維を基材として使用しますが、CFRPは炭素繊維を用いた複合材料です。炭素繊維(英:carbon fiber)は、アクリロニトリル(PAN)繊維や石油・石炭・コールタールなどの副生成物ピッチを原料に高温で炭化させて作った繊維のことです。アクリロニトリル繊維を用いた炭素繊維をPAN系、ピッチを用いた炭素繊維をピッチ系として区分しています。軽くて強い素材として、航空機や自動車・スポーツ用品など幅広い分野で使用されています。
特徴
①比重が鉄の1/4!
②比強度が鉄の10倍!
③比弾性率が鉄の7倍!
主な特徴は、『軽い・強い・腐食しない』ですが、その他にもX線透過性・導電性・耐熱性・低熱膨張性など多くの特徴を持っている素材です。
複合材料の例
繊維強化プラスチック
FRP、GFRP
炭素繊維強化プラスチック
CFRP
アラミド/ケブラー繊維強化プラスチック
AFRP/KFRP
炭素繊維強化炭素複合材料
carbon-carbon,C/C
金属繊維強化プラスチック
アルミやSUSなどを繊維状にした素材
合板
複数種の木材
鉄筋コンクリート
鉄筋で剛性を上げたコンクリート
複合材料の歴史
複合材料は古くは紀元前から使用されていました。例えば・・
家屋の土壁
天然の麻と土を混ぜたもの
土器
土に砕いた貝を混ぜることにより割れづらく、耐熱性を上げたもの
こうやって、数千年以上前から複合材料は身近に使われてきたのです。
1860年代から鉄筋コンクリートに採用されはじめ、1930年代にガラス繊維が開発されてから今日まで、化学繊維の発展により高機能化が進んできています。最近では、CO2削減や地球温暖化、化石燃料の枯渇危機などにより、SDGsへの取組みや環境に対する意識の変化から、天然由来の繊維やバイオ由来のプラスチックなどの利活用が増えてきています。
身近な複合材/複合材の使用例
日常生活の中でも多くの複合材が隠れています。
繊維強化プラスチック(FRP)
家屋
浴槽、洗面台、配管、ベランダや屋上の防水処理
遊具
公園の遊具や遊園地やテーマパーク・ゲームセンターの乗り物などの形状物
スポーツ
テニスラケット、釣り竿、サーフボード、ゴルフシャフト、野球バット
バイク、自動車
カウルやエアロパーツなどの外装部品
このようにFRPは、さまざまな用途で身近で目にすることができます。
同じFRPでも炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、FRPよりも軽量+高強度が実現できる素材ですが、素材コストや製造プロセスの煩雑さなどから、現状ではFRPのような価格帯で製造ができず、航空機や高級車など高品質でハイエンドな使われ方が多い素材です。
サマリー
今回は、身の回りにある身近な複合材料について解説しました。繊維強化プラスチックはFRPで、強化繊維と樹脂を複合化し、プラスチックの持つ高い成形性と繊維強度を融合させた素材です。多くのメリットを有する繊維強化プラスチックですが、製造・生産性や素材コスト・リサイクル性など課題も多く存在します。ここまでで、少しイメージを持っていただけたでしょうか。
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