月面探査車「YAOKI」日本の民間企業として初めて月面に到達し撮影成功!

日本の民間企業初!月面到達!撮影成功!

2025年3月8日 株式会社ダイモン(代表取締役:中島 紳一郎氏)は、同社が開発する月面探査車「YAOKI」を搭載した、Intuitive Machines社の月着陸船「Nova-C」(通称「Athena」)が、日本時間3月7日(金)未明に月面軟着陸に成功しました。さらに、その数時間後にはYAOKIが撮影した写真データの受信にも成功し、これにより、日本の民間企業として初めて月面に到達し稼働した月面探査車となりました。

YAOKI搭載カメラによる月面での撮影 2025年3月7日 ※左上の明るい部分: クレーターの縁 (リム) 中央下:Athenaの足

ダイモン社とUCHIDA

ダイモン社は、2012年に創業したロボット・宇宙技術開発ベンチャーです。月面探査車YAOKIを中核として、月面探査事業、地上ロボット事業、教育エンタメ事業に取り組んでいます。当社は2021年からダイモン社と業務提携契約を締結しProject YAOKIのパートナーとして本体、デプロイヤーのカーボンパーツ製作を技術支援しています。

2021年3月業務提携契約時の様子

七転びYAOKIの快挙

横転した状態ではあるものの、Intuitive Machinesにとって2回目の月面軟着陸成功となり、3月2日のブルーゴーストに続く民間企業の月着陸船として3例目となります。IM-2 [*1]のミッションは、将来の月探査を可能にするために、水資源探索のインフラを検証し、利用可能な資源の組成や濃度を特定し、月面通信技術を実証することを目的としています。*1)IM-2 Intuitive MachinesのMission 2の略

YAOKIのカメラの位置。写真はここから撮影

早期ミッション開始の経緯

着陸後の月着陸船「Athena」の姿勢が予定通りではないことから、月着陸船の最大活動時間を考慮しIntuitive Machinsから各ペイロードに、それぞれのミッションを着陸直後から短時間で遂行する指示が発せられました。「YAOKI」は着陸後約5日後に計画していたミッションを、着陸直後に実行する計画変更の指示を受け、Athenaに搭載されている全てのペイロードの最後にミッションを実施しました。電力供給の制限や、温度の低温化など時間が経つほど環境が悪化す状況下で、月面での写真撮影・データ送信に成功し、着陸船から月面に解放されるに至らずも、YAOKIが月面で予定していた所定の動作が正常に作動することを確認しました。

今回のミッション概要

月面探査車YAOKIは、NASAの「商業月貨物輸送サービス(CLPS)[*2]」プログラムのもと、月の南極地域に送り込まれるペイロード[*3]のうち、民間に開放されたペイロードの1つです。今回のYAOKIのミッションは、月着陸船から分離し、遠隔操作で月面を走行しながら撮影したデータを地球に送信します。軽量かつ耐久性に優れた小型月面探査車YAOKIは、将来的に月面基地建設や有人活動を支援するプラットフォームとしての役割を想定しています。
*2)CLPS= Commercial Lunar Payload Servicesの略で、NASAが民間企業へ委託する商業月貨物輸送サービス
*3)ペイロード=宇宙分野における輸送機が運ぶ荷物や機器の総称

YAOKIのミッション結果と成果

株式会社ダイモン ホームページより

結果

YAOKIの運用は3月7日 午前2時17分51秒 (UTC) に開始され、最後のコマンド送信は4時32分30秒 (UTC)に行われました。困難な状況下にありながらも、2時間以上にわたり貴重なデータを送信することに成功し、最終コマンド送信時点でYAOKIのバッテリー残量は4時間以上あることをオペレーションシステムにより確認しました

  • デプロイヤー[*4]からの分離は、着陸船からの電力供給ができず実施不可
  •  写真撮影は成功し、リアルタイムで確認に成功
  • デプロイヤー内部で車輪の回転を実施。分離されていれば月面走行可能と推定
  • 打上げから探査までの全工程で、YAOKIの温度を示すテレメトリーなどを正常に取得。重心データを確認
  •  YAOKIは、ミッション全体を通じて最も活動的ペイロードの一つだった
  •  YAOKI本体は、全機能が正常に動作することを確認。予定していた全機能の動作を地上からオペレーションすることに成功

*4)デプロイヤー=YAOKIを輸送時に格納しているケース

成果

  • 画像データが欠落するパケットロスが無く、クリアなデータを受信
  • 1枚の写真データの受信時間は75秒で、リアルタイムに近い送信速度を確認
  • デプロイヤー開閉のためのエネルギーの供給が途絶えたためデプロイヤーの内部より撮影

ミッションのタイムライン

2時17分51秒(UTC) 初回コマンド送信
2時19分02秒(UTC) 初回データ受信
4時32分30秒(UTC) 最終コマンド送信
着陸船の電源供給終了によりIM-2全ミッション終了

月着陸船 Athena が撮影した写真  2025年3月3日15時30分(CST)撮影

月着陸船 Athena が撮影した写真  2025年3月7日8時29分(CST)

今後のYAOKIミッション

Project YAOKI 2(PY-2)
(*)Astrobotic Technologyと契約済み。詳細は未定

Project YAOKI 3 (PY-3)以降
(*)詳細は未発表

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