繊維強化プラスチック・FRPとは？
FRP : Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)は、繊維を強化材として使用したプラスチックの総称です。２種類以上の異なる材料を組合せて使用することから『複合材料：Composite』とも呼ばれています。プラスチックだけでは得られない強度や特性を繊維で補強することにより、プラスチックと比べて軽量で強靭な構造物を作ることが可能になります。FRPは一般的にガラス繊維を強化材として用いることからGFRP：Glass Fiber Reinforced Plasticsと呼ばれています。使用する強化繊維がガラスであればG、炭素繊維であればC、アラミド繊維であればAをFRPの頭文字として表します。
繊維強化プラスチックの種類
繊維強化プラスチックの種類は、使用する繊維やマトリクスとして用いる樹脂によって幅広いラインナップが存在します。
主な強化繊維
FRP(GFRP)：ガラス繊維強化プラスチック
1940年代から普及し、材料が安価なことから幅広い分野で使われている素材です。絶縁性を有している素材で、半導体の基板や家庭用バスタブなどにも使用されています。
CFRP：炭素繊維強化プラスチック
ガラス繊維よりも高強度・高弾性で高機能材料であることから、自動車や航空機などハイエンドな領域やレース用部品・スポーツ用品などで多く使われている素材です。ガラス繊維と比べると材料コストが高いため、用途は多少限定的です。
AFRP/KFRP：アラミド繊維強化プラスチック/ケブラー繊維強化プラスチック
高強度で、引きちぎれにくい素材という特性を生かして、防弾ベストや軍手などに多く使用されています。レースの世界では、軽量で高強度なCFRPを多く使用しますがレース中にクラッシュや転倒の際、部品が飛散して二次被害を防ぐために、AFRPやKFRPをCFRPと組合せて使用します。
その他
用途によっては、ボロン繊維・ザイロン繊維・ポリエチレン繊維を使用することもあります。
繊維の選定は、強度や剛性などの機械特性・使用環境・コストなどを考慮し組み合わせて使用するケースも多いです。
FRPの最高峰『CFRP：炭素繊維強化プラスチック』
FRPでは主にガラス繊維を基材として使用しますが、CFRPは炭素繊維を用いた複合材料です。炭素繊維(carbon fiber)は、アクリロニトリル(PAN)繊維や石油・石炭・コールタールなどの副生成物ピッチを原料に高温で炭化させて作った繊維のことです。アクリロニトリル繊維を用いた炭素繊維をPAN系、ピッチを用いた炭素繊維をピッチ系として区分しています。軽くて強い素材として、航空機や自動車・スポーツ用品など幅広い分野で使用されています。
特徴
①比重が鉄の１/４！
②比強度が鉄の１０倍！
③比弾性率が鉄の７倍！
主な特徴は、『軽い・強い・腐食しない』ですが、その他にもX線透過性・導電性・耐熱性・低熱膨張性など多くの特徴を持っている素材です。
主なマトリクス樹脂
マトリクス樹脂は、大きく熱硬化性樹脂（加熱によって硬化する樹脂）と熱可塑性樹脂（加熱によって溶融し冷却して成形する樹脂）の２種に大別されます。
※熱硬化性樹脂はクッキー・熱可塑性樹脂はチョコレートのイメージです。
熱硬化性樹脂
エポキシ・不飽和ポリエステル・ビニルエステル・ビスマレイミド・フェノール・シアネート・ポリイミドなど
熱可塑性樹脂
PA・PP・TPU・PC・PPS・PEI・PEKK・PEEKなど
樹脂の選定は、製品の使用環境や特性・製品ロッドやコストに合わせて決定します。
サマリー
今回は、繊維強化プラスチックの種類について解説しました。繊維強化プラスチックはFRPで、強化繊維と樹脂を複合化し、プラスチックの持つ高い成形性と繊維強度を融合させた素材です。そして、強化繊維・樹脂それぞれ用途に応じた素材が存在します。用途によっては、外観はCFRPで中身はGFRPでコストダウンに繋げる製品もあります。ここまでの話で、少しイメージを持っていただけたでしょうか。
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