CFRP・カーボンの成形方法について
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の最大の特徴は、軽くて・強い・腐食しないことです。その特徴を生かして幅広い分野で先端素材CFRPが活躍しています。CFRPの成形方法として、設計自由度が高く高品質なドライカーボン(CFRP)が得られる成形方法がオートクレーブ製法です。
オートクレーブ成形について解説していきます。
CFRPの成形方法
オートクレーブ成形
RTM(Resin Transfer Molding)成形
Va-RTM(Vacuum Assisted-RTM)成形
プレス成形
ハンドレイアップ成形
フィラメントワインディング成形
シートワインディング成形
引抜き成形
3Dプリンター
当社では■色の製法に対応しています。
オートクレーブ成形の前に
成形型製作
まず、CFRP製品を作るための成形型を設計し製造します。オートクレーブ成形法では、プレス金型の様に上型と下型の中で成形するのではなく外型のみを製作して、内側はオートクレーブによる加圧によって成形を行います。材質は、ケミカルウッドや石膏・金属・CFRP型など、製作数量や形状などに合わせて素材を選定します。
DMG MORI TVCM 「Front Runner Vol.46 株式会社UCHIDA」
プリプレグ材裁断
カッティングプロッターを使用してプリプレグと呼ばれる、炭素繊維(カーボン繊維)に樹脂があらかじめ含侵されているシートを裁断します。プリプレグ材料は食品と同様で、生ものであり使用期限があります。一般的には、マイナス18℃以下での冷凍保管が必要です。
積層作業
裁断されたプリプレグシートを職人が、1層1層、設計に合わせて型に貼付け積層していきます。積層作業中に髪の毛などの異物が製品へ混入しないように、清浄度管理されたクリーンルームで、作業者はクリーンウエアを着用し品質管理に努めます。プリプレグシートは1層0.08-0.7mm程度の薄い素材ですが、後のオートクレーブによる成形工程中に層間に空気が残っていると、空隙や層間剝離などの不具合につながるため、1層ごとに真空引きを行い脱気します。
Laminate
バギング作業
積層作業を終えると、離型フィルムやブリーザークロス・バギングフィルムなど専用の副資材を配置して真空引き(バギング)作業を行い成形前の準備は終わりです。バギングフィルムをシールしているシーラントテープ(画像黄色い部分)や鋭角な形状の端部が破れてリークすることが無いようにしっかり封じます。
Bagging
オートクレーブ成形
オートクレーブ成形とは
圧力
オートクレーブを一言でいうと圧力容器です。管内を加圧し積層されたプリプレグシートを型に押し付け内部に残存する空気を脱気する役割をします。
温度
成形では、CFRP(熱硬化性樹脂を用いた炭素繊維強化プラスチック)の場合、加熱することにより樹脂が硬化反応し固まり(硬化)します。
※クッキーの様なイメージです。
CFRTP(熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化プラスチック)の場合は加熱することで溶融し、冷却させて固まります。
※チョコレートの様なイメージです。
真空
成形中は、一般的にバギングされた製品は真空を維持し脱気を行います。成形中の履歴は記録計を用いて、紙もしくはデータで残しトレーサビリティとしてお客様への提出や自社規定に基づき保管します。
オートクレーブ
装置内部の加熱・加圧イメージ
圧力・温度・真空を製品に合わせてプログラミングして成形
仕上げ(二次加工・接着・アッセンブリ)
オートクレーブ成形を終えると、型から製品を外す脱型作業を行い、製品を既定の位置でトリミング、穴あけ、接着・アッセンブリ、表面仕上げ、場合によっては塗装を行い製品を仕上げます。
After cure
塗装
検査
ものづくりが終わると、最終検査を行います。製品の外形状や寸法測定、穴計測などご要求に合わせて検査を実施します。構造品の場合には、製品内部や接着部などに空隙や不具合が無いことを検証するため、超音波探傷器を用いて非破壊検査を実施し製品を保証します。
まとめ
オートクレーブ成形では、成形サイクルが一般的に4-5時間程度必要です。
最大の特徴は、型の材質や製品材料・形状など設計の自由度が高く、CFRPの特徴や性能を最も引き出しやすい製法です。製品の制約はオートクレーブの大きさ(内径x長さ)に依存します。
オートクレーブ成形では、プレス成形用金型の様に上下型の中(キャビティ)で成形する方法とは異なり、一般的に凹型のみで成形を行えることや、金型の様な高価な型材を必要としないため型の費用を安価に抑えることができます。
これらの特徴から、オートクレーブ成形は試作開発~多品種少量生産で高品質なCFRP製造には欠かせない最良な設備であるといえます。
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