CFRP・カーボンの試作コストについて Vol.1 オートクレーブ成形法

イントロ

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は航空機や自動車産業をはじめ、スポーツ/レジャーなど幅広い分野で軽量、高強度な素材であるとして注目を集め採用されています。しかし、CFRP部品の製造方法やコストについては、製品によって適切なプロセスを設計し生産に移行するため専門性が必要なので、異業界の方々に理解してもらうことが難しいのが実情です。

概要

CFRPは金属のような等方性材料とは異なり、繊維方向に強度が依存するため繊維の異方性を有した設計を行うことができること、マトリクスとして樹脂を用いることから繊維と樹脂の特性を考慮した設計の自由度が高いことが特徴に挙げられます。一方で設計をはじめ、製造プロセスも煩雑で製造コスト高が課題となっており、普及が進まない要因にもなっています。ここでは、CFRP部品の一般的な試作コストについてVol.1~Vol.4までシリーズ化して解説します。

CFRP・カーボン試作

オートクレーブ成形法

CFRPで試作品を作る際に一般的なオートクレーブ成形方法をご紹介します。

UCHIDA ワークフロー

材料

成形型は、切削性に優れCFRPの特徴の一つでもある低熱膨張率で相性の良い石膏や、金型・CFRP型など製品のロッドや形状に合わせて使用します。オートクレーブ成形法で使用するCFRP素材は、樹脂がカーボン繊維に予め含侵されているプリプレグと呼ばれるシートを使用します。

プロセス

まず、お客様のご要望をヒアリングです。構想段階で図面の無いお客様も含めてご要望をヒアリング、CFRPでの実現に向けて設計を行い、イメージを具現化していきます。ここでは石膏型を例に解説します。

3Dモデルにて製品の形ができると、成形型を製作するため型のモデリングを行います。製品の構造を実現するために成形型として求められる仕様やマシニングセンタ(設備)の制約を踏まえながらモデリングし型の加工を行います。加工後に検査を終えた成形型は、表面を樹脂や離型剤でコーティング処理を施します。後のプリプレグ素材を成形型に貼付け、成形した際に型へ貼り付かない様にするための処理となります。※調理用のフライパンに施されているテフロンコートと同じ役割です。次はプリプレグをロールから実際に使用するカッティングデータで裁断を行います。プリプレグは食品と同じように使用期限があります。メーカーによって異なりますが冷凍保管で半年~1年程度が多いです。使用期限が切れたプリプレグは、メーカー保証も切れるので、一般的には廃棄になってしまいます。裁断を終えたプリプレグは、クリーンルームにて積層作業を行います。一層一層設計に合わせて、繊維の配向をアレンジし貼っていきます。積層後は、バギング作業と呼ばれる真空バック(布団圧縮袋の様)に包んでオートクレーブ装置に投入し温度と圧力をコントロールして成形していきます。成形後は、型から製品を脱型しマシニングセンタや電動ツールを活用して余分な製品端部や穴あけ、接着アッセンブリなどで仕上げて検査を行い、製品が完成します。

サマリー

Vol.1では、CFRP・カーボン試作のものづくりをベースに解説しました。次回、Vol.2以降は材料費や人件費・設備費・リードタイム・対応可能企業などについて解説予定です。

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