イントロ
前回Vol.1では、オートクレーブ成形法について解説しました。ものづくりのプロセスについて少しイメージを持って頂けたでしょうか。
概要
今回のVol.2では、製作に関わる材料費と人件費について解説します。
材料費
型材料
まず、石膏を例にして解説します。日本国内におけるCFRP用の試作型では、一般的に石膏ボードを用いることが多いです。建築用の石膏ボードと同じような材質です。石膏ボードはメーカーによってラインナップは異なりますが、凡そ1000mm(W) x 1500mm(L) x 50mm(H) サイズが多く、製品の大きさや成形型の分割構造に合わせたボード素材を接着し、厚みを持たせてマシニングセンタを用いて加工します。ボードとしての素材は、定尺1枚あたり\40,000-\60,000程度の費用感です。
製品材料
ここでは炭素繊維プリプレグについて解説していきます。プリプレグは前述のとおり炭素繊維と樹脂に大きく分かれます。炭素繊維は繊維自体にラインナップが多く、硬さを示す弾性率では低弾性から中・高・超高弾性繊維まであり、強度を示す比強度も高強度まで幅広く選択ができます。また繊維の形態についても一方向に炭素繊維を引きそろえたUD(Uni Directional)や織物としての選択も可能です。構造や意匠などによってこれらを組み合わせて使用します。樹脂については、試作における構造部品ではエポキシ樹脂が一般的ですが、製品に求める耐熱性や特性によっては、ビスマレイミドやシアネート系・ポリイミド樹脂などを用いるケースや熱可塑性樹脂をマトリクスとしたプリプレグもあります。使用環境や特性などによってコストやロッドは大きく異なりますが、一般的なエポキシ系プリプレグでは\4,000-8,000/㎡、特殊な宇宙用途などの素材では\100,000/㎡くらいする材料もあります。プリプレグシートは1層辺り0.08mm~0.7mm程度の薄い素材です。設計に合わせて何層も積層し製品化していきます。
人件費
作業者(人)
試作における作業者(人)の関与について解説します。オートクレーブ成形法における製作プロセスは前回のコラムで紹介しましたが、多くのプロセスは作業者(職人)の手作業を経て作られていきます。
UCHIDA ワークフロー
特に当社では、複雑な形状・大型構造品や一品モノ、試作開発品のご依頼が多く、試作品では短納期開発の要求があり、機械化している時間やコストはありません。柔軟な対応だからこそ!作業者(人)の技術が求められる、当社が得意としている部分でもあります。CFRPの機械化はまだまだ発展途上であり、航空機関連など大型で形状がシンプルな製品、且つ安定生産と品質保証を兼ね備えた製品等に限定されています。
サマリー
Vol.2では、CFRP・カーボン試作の材料費・人件費をベースに解説しました。材料自体のコスト感や製造に多くの人の手を介してものづくりが行われていることをご理解いただけたでしょうか。次回、Vol.3は設備費・リードタイムについて解説予定です。
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当社では、FRP・GFRP・CFRPを用いたCFRP成形加工メーカーとして多くの技術ノウハウを活用し、設計・解析から製造、二次加工・アッセンブリ、塗装、品質保証、試験までワンストップに対応しています。
UCHIDAではお客様の高度な課題にも対応できるように最先端の設備を導入しております。
DMG森精機 - VS1000/40/2050
X軸:2,050mm(ストローク) / Y軸:1,000mm / Z軸:600mm / テーブル作業面:2,250×1,000mm
芦田製作所 - AUTO CLAVE 2号機
サイズ:Ø1,150×1,000mm / 使用温度:常温〜400℃ / 設計圧力:2.0Mpa(最高使用圧力) / 真空方式:バック吸引方式 / 真空口数:5個
芦田製作所 - AUTO CLAVE 3号機
サイズ:Ø3,000×6,000mm / 使用温度:常温〜200℃ / 分布精度:±2.5℃以内 / 昇温速度:4.0℃/分(空炉) / 冷却速度:4.0℃/分(空炉) / 設計圧力:0.99Mpa(最高使用圧力) / 常用圧力:0.7Mpa以内(メーカーから指定がなければ0.3Mpa位) / 圧力精度:±0.02Mpa(0〜0.99Mpa/cm²の圧力設定に対して) / 昇圧精度:0〜0.03Mpa/min / 圧力源:圧縮空気(常用時) / 真空方式:バック吸引方式 / 真空口数:10個
オーブン
サイズ:W1,000×H1,000×D1,000mm / 温度範囲:環境温度+20〜300℃ / 昇温能力:環境温度(20〜40℃)〜300℃まで/45分以内 / 真空方式:バック吸引方式 / 真空口数:10個
オーブン
サイズ:W7,000×H3,000×D2,000mm / 温度範囲:環境温度+20〜300℃(MAX) / 昇温能力:環境温度(20〜40℃)〜300℃まで/60分以内 / 真空方式:バック吸引方式 / 真空口数:10個
NEO
X軸:4,000mm(ストローク) / Y軸:2,000mm / Z軸:1,200mm / C軸:0度〜±270度 / B軸:0度〜±110度 / テーブル作業面:4,000×2,000mm
【開発】
3Dプリンター | Markforged
塗装ブース
各種塗装・クリア仕上げ等は、専用の塗装ブースで行っています。
接着・仕上げ・コーティングルーム
型や成形物の表面処理・トリミング・穴明け・接着等の仕上げ工程は専用ブースで行っています。
東芝 - マトリックスアイEX (超音波探傷器)
Matrix-Arrey:32
AMETEK CREAFORM MetraSCAN750 Elite(3Dスキャン)
オーブン
サイズ:W450×H450×D450mm / 温度範囲:環境温度+50〜650℃ / 昇温能力:環境温度+50〜650℃/120分以内
カッティングプロッター
テーブル作業面:W1,500×L3,500mm
Krauss Maffei - エポキシ樹脂注入機
Resin 60ℓ / Hardener 25ℓ
Krauss Maffei - 630t プレス機
W1,200×L1,500×H1,700mm / Power Unit:Vacuum valve×2 / Air valve×5 / Hydraulic valve×5
DMG森精機 - NV5000B/40
X軸:1,020mm(ストローク) / Y軸:510mm / Z軸:510mm / テーブル作業面:1,320×600mm
大型クリーンルーム
JIS B 9920 清浄度クラスの上限濃度(個/立方メートル) / クラス5:100,000m³ / 室容量:256m²(16,000×16,000mm) 760m²(16,000×16,000×3,000mm) / 室内温湿度条件:温度 23℃±3℃ 湿度 65%以下 / 外気条件:夏期 温度35℃ 湿度 70%以下 / 冬期 温度-5℃ 湿度 40%以下
CAD / CAM
CATIA V5:2台 / THINK DESIGN:1台 / MASTER CAM:4台 / その他 3D/CAD:3台 / その他 2D/CAD:5台
下記動画にて製造工程を細かく紹介しております。是非ご参照ください。