CFRP専業メーカーから見るカーボン装具について

イントロ

最近カーボン装具・CFRP装具という言葉を聞く機会が増えていると思います。義足などでは、よく使われているカーボンファイバー(CFRP)ですが、どんな素材でどの様に取り扱うのでしょうか。ここでは、CFRP部品製造を主事業としている当社独自の目線でカーボン装具・CFRP装具をご紹介します。

カ―ボン・CFRPとは?

カーボンファイバーはその名の通り炭素繊維のことですが、炭素繊維単体では細い糸で形状を保持できません。樹脂と合わせて使うことで、形状を保持し炭素繊維の軽くて強い特徴を生かすことができます。炭素繊維と樹脂など2種類以上の素材を組み合わせて新たな機能をもたらす素材を複合材料(Composite)と総称します。その中でも炭素繊維と樹脂を組み合わせた素材を“ 炭素繊維強化プラスチック(CFRP : Carbon-Fiber Reinforced Plastics)”と呼びます。

カーボン装具

先端素材CFRPは、航空機や人工衛星・自動車・スポーツ、レジャーなどの幅広い分野でも最大の特徴である『軽い・強い・腐食しない』を生かして活躍しており、カーボン装具というのは、CFRP装具と意味合いは同じカーボン(炭素繊維)をベースに使用した装具、ということになります。近年では補装具の領域においても、車いすや杖などに使われている場面が増えており、競技用義足の多くがCFRPで作られています。

メリット、デメリット

CFRPは、カーボン(炭素繊維)の方向に強度が依存するため、金属の様に等方性材料ではなく異方性材料として、すべての製品に材料設計が必要です。また、繊維・樹脂を含めて設計の自由度が高いため専門性が必要になります。CFRPは、それらの特徴や機能を理解できていないと扱いが非常に難しい素材です。メリットが多くあるCFRPですが、型が必要であることや、材料コスト、製造工程も煩雑で、コスト高が課題となっています。

カ―ボン・CFRPの製作方法

オートクレーブ成形法について

CFRPの成形方法はロッドや形状・用途などによって様々に存在しますが、ここでは材料の設計自由度も高く、高品質な製品が作れる代表的な工法であるオートクレーブ成形法を紹介します。オートクレーブ成形法などで作られた高品質なCFRPをドライカーボンと呼ぶこともあります。

EQUIPMENT UCHIDAの設備

CFRPのものづくりには専用の環境・設備が必要です

それぞれの工程では、CFRPの特徴を理解した職人が必要となり、設備環境とノウハウを持ち合わせた作業者が合わさることで高品質なCFRP製品が生み出されます。

脊髄損傷者用長下肢装具「C-FREX」の開発事例

C-FREX(シーフレックス)について

C-FREXはCarbon-Fiber Reinforced Exoskeletonの略で、CFRPの特徴を生かした脊髄損傷者用長下肢装具です。2014年-2021年にわたり、国立障害者リハビリテーションセンター研究所と共同開発を行ってきました。C-FREXは、脊髄損傷者が身体機能を維持するために使用するCFRP製の歩行装具です。外部動力を用いずに健常者に近い歩容を実現するため全く新しい装具として開発を行ってきました。

開発コンセプト

下腿ソケット部のCFRP置換による軽量化と弾性エネルギーの活用

動力を用いない膝関節屈曲伸展動作の実現

従来装具には無い洗練されたデザインによるユーザーニードの充足

C-FREXは、CFRPの強み・弱みを知り尽くしている当社の技術ノウハウを生かして開発を進めてきました。CFRPはコストの課題もありますが、ユーザー毎に異なる体格や症状などマスカスタマイジングの領域において、成形型を毎回製作する形では開発の時間やコスト(最終的にはユーザー負担)が大幅にかかってしまうため、高強度3Dプリンターの部品を多様化し、開発の短縮化や低コスト化を進めてきました。

プロトタイプ開発終了

C-FREXは、2021年7月14日にはTOKYO2020オリンピック聖火リレーに使用しプロトタイプとしての開発を終了しました。

東京オリパラ C-FREX&髙橋カズさん 点火セレモニー

-現在の本プロジェクト

本プロジェクトは開発を終了しましたが、これまで培ったエンジニアリング技術やネットワークを生かし、カーボン(CFRP)の魅力をもっと身近に感じていただけるように、義肢装具製作所や販売代理店などと、様々なCFRPを用いた補装具開発などのコラボレーションを展開しています。

まとめ

カーボン装具/CFRP装具についてのおさらい

カーボン(CFRP)は異方性を有する素材で素材選定(炭素繊維・樹脂)、材料設計、製造方法などノウハウが必要(専門性が高い)

高品質なCFRP部品製作には大掛かりな環境・設備が必要型のコストを始め多くのプロセスが職人(人の手)を介して製作されるためコストが課題点

ご相談ください

当社では、C-FREXの経験を生かしカーボン(CFRP)の専門家として、補装具の様なマスカスタマイジング領域においての低コストCFRPプロセスを開発しています。創業から55年、多くの技術ノウハウを活用し、あらゆるカーボン/CFRP試作開発に柔軟にお応えします-当社では、オートクレーブ成形だけでなく、RTM、HP-RTM、Va-RTM、ハンドレイアップ、3Dプリンターなど幅広い成形技術・設備を取り揃えています。

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